「ここのどこに白い壁があるんだ!馬鹿にするな!」
「煩い!」
初対面の印象は
最悪。
神社の隅にある池の傍で膝を抱えて大きなため息をついた。
あんな乱暴な犬がいるとは。
いや、先に手を出したのは自分なのだけれど。
それでも。
「あんなヤツがいて俺ちゃんとここでやっていけるのか?」
ため息と一緒に呟きを吐き出すと背後から乱暴に「おい」と声がかかった。
いくら人質でも一国の皇子にこんな口を利くやつはあの犬くらいだ。
そう思って背後を睨み付けると、案の定そいつで。
「何の用だよ?昨日の決着でも付けに着たのか?逃げ出したくせに。」
厭味を込めて背後を言ってやると相手が眉尻をぴくりと吊り上げた。
どうやらこいつは直情型らしい。
「失礼なこと言うな!昨日の、謝りに来たんだ!」
罰が悪いのか頬が心なしか赤く染まっていて、思わず拍子抜け。
しばらく睨むのも忘れて相手を見ていると犬が不機嫌そうに「悪いか」とほえた。
悪くはない。
ぜんぜん悪くはない。
むしろ謝るというなら許してやってもいい。
俺は"大人"だからな!
「あの、女の子、目、見えないんだろ?だからお前、不安にさせないように嘘ついたんだろ?だから、その」
馬鹿正直なヤツ。不器用なヤツ。
知らない振りでもしておけばいいのに。
捨てられた皇子なんて放っておけばいいのに。
「別に、怒ってない」
怒ってたけど。
こんな獰猛な犬嫌いだって思ってたけど。
「本当!?ありがと。後であの女の子にも謝らせてくれる?」
怒ってないと言った途端ぱっと笑顔になる犬に目を瞬く。
本当に耳と尻尾が見えた気がした。
なんだコイツ…
獰猛だけど、意外と可愛いんじゃないか?
「ふんっ、許してやる」
途端、情が沸いた。
ぶっきらぼうに右手を差し出すと犬が小さく首を傾げた。
「握手だ!仲直りの!犬は握手も知らないのか!?」
「犬じゃない。スザクだ!枢木スザク!握手くらい知ってる!」
乱暴に握り返された手はぎゅうぎゅうと痛くて。
痛いと言うと少しだけ力が緩められた。
「馬鹿力な枢木スザクか。覚えておくよ」
ふっと余裕ぶって笑うと、犬…もといスザクも膨れながらも笑った。
「君は?名前、まだ聞いてない」
「ルルーシュだ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」
「ルルーシュ。よろしくね」
もう一度交わされた握手は今度は痛くなくて、暖かかった。
同じ年の友達か。
悪くない。
「俺たちが仲良くしているのをよく思わないやつもいるだろうがな」
「じゃあ、合図を決めよう!」
明日、これからずっと、一緒に遊べるように。
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最近絵チャに入り浸りです。はっはっは。
原稿しろって感じなんですが、もうやる気ないですねー。
気がついたら小説と絵チャ、落書き…とまぁこんな感じです。
以下、拍手レスです。いつも拍手ありがとうございます(ぺこり)
>舞雪さま
まっさっかのハッピーエンドフラグ!!
でも絶対無理だって、うんorz
幸せに終わる見込みって少ないよねぇ…
>5月18日1:11「ジノスザ連載楽しみに~」の方
ありがとうございます!!
また是非続きを読みに来てやって下さい
>5月20日23:04「Little sisterで~」の方
はい。婚約者、というのはスザクにとってのトラウマなのです。
これ以上はお楽しみということで。
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